令和5年地価調査結果について(筑後地区)

今回の調査結果も、北部が上昇傾向には変わりはありませんが、南部も横ばい若しくは微増傾向に転じました。筑後地区の中では小郡市が平均変動率で住宅地(+10.6%)、商業地(+10.6%)ともに上昇率が1位になっています。これは、地区の中では福岡都市圏に一番近いこと、筑紫野市に近いエリアの分譲地の地価が上昇しているため、市内全域の土地需要が活発になっていることが考えられるほか、コストコの開業時期が明らかになったり、流通業務地としての利便性の高さも評価されていることも挙げられます。

筑後地区最大都市の久留米市は堅調に地価上昇が続いていますが、市内でも中心部と郊外部の地価動向の二極化が進んでいるため、平均としては小郡市より低い結果(住宅地+2.1%、商業地+2.5%)になっています。福岡都市圏から電車で約30分というアクセスの良さを反映し、西鉄久留米駅からJR久留米駅までのエリアには分譲・賃貸マンションが多く建て込んでいます。シティプラザ周辺のイベントも再開され、コロナ前の状況に戻りつつあります。特に、西鉄久留米駅、JR久留米駅徒歩5分以内のマンション用地が高騰しています。

住宅地では久留米市周辺の筑後市、うきは市、大刀洗町、大木町が上昇しています。久留米市より地価が安く、車を使えば勤務先へのアクセスもさほど影響が無く地価が安いため、久留米市の土地需要を吸収していると思料します。筑後地区でも南部地域は福岡都市圏からの距離、雇用を吸収する産業の弱さから下落傾向が続いていましたが、今回調査から横ばいになりました。大牟田市はJR鹿児島本線、西鉄天神大牟田線、九州新幹線の駅が配置されているものの、福岡都市圏より遠い事や高齢化率が県平均より高いなど弱含みの状況ですが、コストプッシュ型の物価上昇のマクロ経済動向でもあり地価下落は止まりつつあります。また、熊本県菊陽町に進出するTSMCとの連携を狙い、三池港周辺に新しい工業地の計画が発表されました。

柳川市は区画整理事業に関しては地価上昇が続いていますが、現在の調査地点がこの地価上昇を反映する地点に設定されていません。大川市も中央公園付近では住環境や利便性が向上しており中心部の住宅地域の地価は微増傾向に転じています。移住や子育補助金が筑後地区内ではトップクラスのため、この効果も相俟っているようです。

うきは市は今回から住宅地が+1.1%と上昇幅が拡大しました。吉井地区の白壁通りの街並みが気に入ってIターンの動きや、道の駅うきは及びその周辺のホテル開業効果により、全体的に土地需要が喚起されていると分析します。

八女市も同様に中心部の住宅地は地価上昇が続いていますが、旧町は高齢化等により土地需要はやや弱い傾向が見られます。大刀洗町は国道500号周辺にミニ開発が多く見られるなど、自然と調和した住みやすい町として土地需要は高まっているため、今回も+2.5%と上昇幅が拡大しています。

工業地は、筑後市が+15.7%、広川町が+17.4%と福岡ICから1時間圏内、各最寄ICから1km程度の距離のため、流通業務適地として大幅な地価上昇が継続しております。

今後の住宅地の地価動向については、地区内の市町村全域で中心部はプラス、郊外部ではマイナスの動きになるような二極化が継続すると予想します。現在、コロナ禍後インバウンドも回復しているため、観光地の商業地は地価上昇に転じることが予想されます。

市区町村名 住宅地 宅地見込地 商業地 準工業地 工業地
平均変動率 平均変動率 平均変動率 平均変動率 平均変動率
大牟田市 0.0 0.0 3.2
久留米市 2.1 2.5 6.6
柳川市 0.0 ▲0.5 0.6
八女市 ▲0.9 ▲0.1
筑後市 3.4 3.8 15.7
大川市 0.1 ▲0.4  1.5
小郡市 10.1 10.6 2.9
うきは市 1.1 ▲0.1 13.7
朝倉市 0.0 1.6 15.1
みやま市 ▲0.1 ▲0.4 0.8
筑前町 5.1 6.0
東峰村 ▲2.9 ▲0.8
大刀洗町 2.5 3.9
大木町 1.1 0.0
広川町 0.1 0.0 17.4
福岡県 3.3 5.8 5.3 9.6
北九州市 1.3 3.5 3.1
福岡市 8.2 11.2 15.2

 

2023年12月21日

令和4年地価調査結果について(筑後地区)

筑後地区の地価動向を大きく分けると、北部が上昇傾向、南部が横ばい若しくは下落傾向が続いています。筑後地区の中では小郡市が平均変動率で住宅地(+7.3%)、商業地(+5.3%)ともに上昇率が1位になっています。これは、地区の中では福岡都市圏に一番近いこと、筑紫野市に近いエリアの分譲地の地価が上昇しているため、市内全域の土地需要が活発になっていることが考えられるほか、流通業務地としての利便性の高さも評価されていることも挙げられます。

筑後地区最大都市の久留米市は堅調に地価上昇が続いていますが、市内でも中心部と郊外部の地価動向の二極化が進んでいるため、平均としては小郡市より低い結果(住宅地+1.4%、商業地+1.7%)になっています。福岡都市圏から電車で約30分というアクセスの良さを反映し、西鉄久留米駅からJR久留米駅までのエリアには分譲・賃貸マンションが多く建て込んでいます。土曜夜市やイベントも再開され賑わいを見られコロナ前の状況に戻りつつあります。岩田屋新館跡地を取得したリオ・ホールディングス(東京)が、FLAG KURUME(千歳プラザ東館・賃料9~14千円/坪・月)として営業を開始、1Fにはスーパー(FOODWAY 福岡市)が進出しています。

住宅地では久留米市周辺の筑後市、うきは市、大刀洗町、大木町が上昇しています。久留米市より地価が安く、車を使えば勤務先へのアクセスもさほど影響が無く地価が安いため、久留米市の土地需要を吸収していると思料します。筑後地区でも南部地域は福岡都市圏からの距離、雇用を吸収する産業の弱さから下落傾向が続いています。ただし、これらの市町でも中心部に近い住環境に優れる地域は地価が上昇しています。大牟田市はJR鹿児島本線、西鉄天神大牟田線、九州新幹線の駅が配置されているものの、福岡都市圏より遠い事や高齢化率が県平均より高いなど弱含みの状況ですが、大牟田市イノベーション創出拠点内に、凸版印刷株式会社のDX開発拠点の開設が決定し、9月進出協定が締結されました。凸版印刷株式会社では、今回の進出は国内3拠点目となるそうです。

柳川市は区画整理事業に関しては地価上昇が続いていますが、現在の調査地点がこの地価上昇を反映する地点に設定されていません。大川市も中央公園付近では住環境や利便性が向上しており中心部の住宅地域の地価下落は横ばい傾向になっています。移住や子育補助金が筑後地区内ではトップクラスのため、この効果も相俟っているようです。

うきは市は今回から住宅地が+0.7%と横ばいから上昇に転じました。吉井地区の白壁通りの街並みが気に入ってIターンの動きや、コロナ渦を経てワーケーション等で土地需要が喚起されていると分析します。

八女市も同様に中心部の住宅地は地価上昇が続いていますが、旧町は高齢化等により土地需要はやや弱い傾向が見られます。大刀洗町は国道500号周辺にミニ開発が多く見られるなど、自然と調和した住みやすい町として土地需要は高まっているため、今回も+2.0%と上昇幅が拡大しています。

工業地は小郡市が+13.3%、筑後市が+12.0%、広川町が+16.8%と福岡ICから1時間圏内で各最寄ICから1km程度の距離のため、流通業務適地として大幅な地価上昇しております。

今後の住宅地の地価動向については、地区内の市町村全域で中心部はプラス、郊外部ではマイナスの動きになるような二極化が継続すると予想します。現在、コロナ禍の影響で観光地の商業地はマイナス傾向ですが、収束すれば観光客も戻り地価上昇に転じるでしょう。

市区町村名 住宅地 宅地見込地 商業地 準工業地 工業地
平均変動率 平均変動率 平均変動率 平均変動率 平均変動率
大牟田市 ▲0.5 ▲0.7 3.3
久留米市 1.4 1.7 4.9
柳川市 ▲0.3 ▲0.7 0.0
八女市 ▲1.0 ▲1.0
筑後市 3.5 2.0 12.0
大川市 ▲0.5 ▲0.8  0.9
小郡市 7.3 5.7
うきは市 0.7 ▲0.5 9.4
朝倉市 ▲0.3 0.6 12.0
みやま市 ▲0.2 ▲1.1 0.0
筑前町 4.1 4.7
東峰村 ▲2.9 ▲0.8
大刀洗町 2.0 2.3
大木町 0.6 ▲0.3
広川町 ▲0.2 ▲0.3 16.8
福岡県 2.5 5.2 4.0 6.3
北九州市 1.0 2.4 2.4
福岡市 6.5 9.6 11.7

 

2022年9月21日

令和3年地価調査結果について(筑後地区)

令和3年9月に福岡県から発表された地価調査結果について考察します。県内全域に精通していますが、ここでは筑後地区(車の久留米ナンバーの区域)に限定します。

筑後地区の地価動向を大きく分けると、北部が上昇傾向、南部が横ばい若しくは下落傾向が続いています。筑後地区の中では小郡市が住宅地も商業地も上昇率が1位になっています。これは、地区の中では福岡都市圏に一番近いこと、三国が丘駅周辺の分譲地の地価が上昇しているため、市内全域の土地需要が活発になっていることが考えられるほか、流通業務地としての利便性の高さも評価されていることも挙げられます。

筑後地区最大都市の久留米市は堅調に地価上昇が続いていますが、市内でも中心部と郊外部の地価動向の二極化が進んでいるため、平均としては小郡市より低い結果となっています。住宅地では久留米市周辺の筑後市、大刀洗町、大木町が上昇しています。久留米市より地価が安く、車を使えば勤務先へのアクセスもさほど影響が無く地価が安いため、久留米市の土地需要を吸収していると分析します。筑後地区でも南部地域は福岡都市圏からの距離、雇用を吸収する産業の弱さから下落傾向が続いています。ただし、これらの市町でも中心部に近い住環境に優れる地域は地価が上昇しています。柳川市は区画整理事業に関しては地価上昇が続いていますが、現在の調査地点がこの地価上昇を反映する地点に設定されていません。大川市も中央公園付近では住環境や利便性が向上していますので、中心部の住宅地域の地価下落は止まると予想します。八女市も同様に中心部の住宅地は地価上昇が続いています。筑前町は小郡市同様に福岡都市圏に近い立地のため、地価上昇幅が相対的に大きい傾向が続いています。

今後の住宅地の地価動向については、地区内の市町村全域で中心部はプラス、郊外部ではマイナスの動きになるような二極化が顕著に見られると予想します。現在、コロナ禍の影響で観光地の商業地はマイナス傾向ですが、収束すれば必ず観光客も戻り地価上昇に転じるでしょう。

市区町村名 住宅地 宅地見込地 商業地 準工業地 工業地
平均変動率 平均変動率 平均変動率 平均変動率 平均変動率
大牟田市 ▲ 1.2 ▲ 1.1 1.1
久留米市 0.8 1.3 4.2
柳川市 ▲ 0.6 ▲ 1.2 ▲ 1.8
八女市 ▲ 1.4 ▲ 1.8
筑後市 1.3 1.3 3.6
大川市 ▲ 1.4 ▲ 1.7 ▲ 0.3
小郡市 5.0 4.6
うきは市 0.0 ▲ 1.9 8.9
朝倉市 ▲ 0.5 0.4 9.2
みやま市 ▲ 0.6 ▲ 2.0 0.0
筑前町 3.9 3.9
東峰村 ▲ 3.6 ▲ 1.7
大刀洗町 1.2 1.0
大木町 0.4 ▲ 1.0
広川町 ▲ 0.1 ▲ 0.6 3.7
福岡県 1.5 2.4 2.7 4.4
北九州市 0.4 0.9 1.7
福岡市 4.4 7.7 9.0

以上、不動産鑑定士淺川博範による個人的な分析結果でした。

2021年11月10日

平成31年地価公示(久留米市)

〇住宅地

継続地点36地点中、上昇22地点、横ばい6地点、下落8地点。特急停車駅(JR久留米駅、西鉄久留米駅、花畑駅)周辺では相変わらず分譲マンション素地需要が地価を押し上げ、他用途の地価水準も押し上げている。久留米-23が当市最大の上昇率で前年並みの+4.1%の上昇となっている。中心部市街地周辺では校区による選別傾向もあるが、戸建住宅用地需要が安定している。新築分譲マンションは、予定も含めて約10棟の供給があり、特急停車駅周辺の徒歩圏や中心市街地に近い物件は概ね好調であるが、郊外部ではやや苦戦気味である。

戸建住宅は、総額2.6千万~3.7千万円程度のミニ開発分譲が安定しており、上津バイパス周辺(-5)では、生活利便施設の充実、東合川野伏間線全線開通効果を反映し、+3.2%の上昇である。旧郡部である田主丸や北野町の郊外部はやや弱含みで推移している。

〇商業地

継続地点15地点中、上昇11地点、横ばい3地点、下落1地点。下落地点がほぼなくなっている。中心市街地の10の商店街の平均空室率調査によれば、H21の26.8%を最高に、H30.5は319戸中55戸の空室で17.2%と微減傾向で推移している。業種としては飲食関係が増加する傾向が続いている。なお、二番街商店街の空き店舗率が高い(H30.5、26.7%)。H30秋期歩行者通行量調査では、10地点合計で平日が前年比▲5.0%、休日が+19.9%とシティプラザ周辺の平日が減少したが、休日の増加傾向が顕著である。今回の休日は気温も高く、イベント開催日に重なったことが一因とも分析している。筑後地区上昇率NO.1は、市役所前の5-3が+6.7%である。路線商業地域も上津バイパス沿い(5-10)は上昇幅が拡大傾向、約20年前の定期借地権の終了により、建て替えに伴い地代の上昇が見られる。値頃感がある西鉄久留米駅に近い通町の5-15(+5.6%)は上昇率が拡大している。

〇工業地

吉本工業団地周辺に新規で約34haの「久留米・うきは工業団地」の造成が進んでいたが、資生堂九州福岡工場(仮称)の進出が発表された(H31.2)。その他、市内の分譲工業団地は全て完売するなど、当市への新規進出状況は安定している。既存の工業地も、このような需要増の影響により、2地点共に上昇している。

2019年3月20日

平成30年地価調査結果について(久留米市)

〇住宅地

継続地点35地点中、上昇18地点、横ばい7地点。特急停車駅(JR久留米駅、西鉄久留米駅、花畑駅周辺)では分譲マンション素地需要が依然高く、-35は+4.1%の上昇が続いている。戸建住宅は、総額2,500万~3,600万円程度のミニ開発分譲が活発化。上津バイパス周辺の南町、野伏間地区では、生活利便施設の充実と久留米ICまでの利便性の高さを反映するなど、上昇基調が継続している。中心部周辺地域(諏訪野町、野中町、国分町等)では、校区による選別傾向もある中、安定した戸建住宅需要を背景に上昇傾向が継続。城南町の-12が今回調査では上昇率トップであり、周辺の再開発動向と新幹線停車駅まで徒歩5分の利便性と良好な住環境を志向する潜在的な需要者層が多いことが反映されている。旧久留米市やや郊外の地域でも殆どが安定局面にあり、横這い又は昨年より縮小した下落幅で推移している。一方で、旧郡部住宅地の中でも、三潴町は全地点で上昇、北野町は4地点中2地点で上昇、田主丸町は3地点中2地点で横ばい、城島町は4地点全地点で下落傾向が続いている。北野町郊外、城島町全域においては、昨年並みの下落幅(▲1%~▲3%前後)で推移しており、二極化が鮮明になっている。

〇商業地

継続地点11地点中、上昇6地点、横ばい2地点、下落3地点。JR久留米駅前、合川バイパス、櫛原バイパス沿いの上昇が安定しており、旧郡部の下落率が小さくなったため、平均変動率で住宅地以上の上昇率を示している。路線商業地域である合川地区の「ゆめタウン」周辺、上津バイパスに集積している。中心商業地は一番街周辺の各アーケードであるが、店舗入れ替わりが多く近年では飲食店街化している。夜の通行量増加を反映して一番街5-1、マンション用地としての水準まで下落して値頃感を反映した明治通り5-3の中心市街地2地点が上昇に転じている。JR久留米駅東口の5-4が今回+3.6%の上昇を示しており、H29.6に都市計画決定されたJR久留米駅前第二街区市街地再開発事業への期待感が現れている。路線商業地域については、依然として高い繁華性の認められる合川・櫛原バイパス(5-10・5-11)はプラス基調(+2%台)で推移、その他上津バイパスは開発初期の定期借地権の終了に合わせて店舗建て替えが活発であり、ゆめタウン久留米も堅調である。

〇工業地

吉本工業団地周辺に約33haの新産業団地(久留米・うきは工業用地)の造成が進行している。最後に分譲された工業団地である藤光産業団地(藤光町・荒木町)は平成29年12月に10区画全て完売、当市工業団地への新規進出状況は安定している。九州内の流通業務施設適地としては隣接の鳥栖市が全国的に人気ながら用地が不足しているため、9-1が+0.9%と上昇して、周辺市へ需要の波及効果が現れている。

2019年3月10日

平成29年地価公示結果についての考察(久留米市)

平均変動率で住宅地が前年並みの上昇率、商業地は前年から上昇率が拡大。

○住宅地

継続地点37地点中、上昇14地点、横ばい11地点、下落12地点。特急停車駅(JR久留米駅、西鉄久留米駅、花畑駅)周辺では、相変わらず分譲マンション素地需要が地価を押し上げ、久留米-23は+3.6%の上昇。中心部市街地周辺では校区による選別傾向もある中、戸建住宅用地需要が安定。新築分譲マンションは、予定も含めて約11棟の供給がある。新築及び中古共に特急停車駅周辺の徒歩圏や中心市街地に近い物件は概ね好調であるが、郊外部ではやや苦戦気味である。

戸建住宅は、総額2千万~3千万円程度のミニ開発分譲が活発化。上津バイパス周辺(-5)では、生活利便施設の充実、東合川野伏間線全線開通効果を反映するなど、+4.0%の上昇。この傾向は同街路に近い国分町エリア(-9、-11)まで波及している。

H28地価調査では平均変動率で±0%と横這い、地点構成が需要の弱い三潴町以外の旧郡部に11地点あるためで、地価公示では旧久留米市の地点が多くこのような上昇基調の平均変動率となっている。

○商業地

継続地点15地点中、上昇7地点、横ばい4地点、下落4地点。上昇地点と下落地点がはっきり分かれている。中心市街地11の商店街空室率調査では、H21の26.8%を最高にH28.11は319戸中56戸の空室で17.6%と長期的に回復傾向。H28秋期歩行者通行量調査では、10地点合計で平日が前年比111.5%、休日が156.4%と特に六角堂前、ライオンパーク前、岩田屋前が驚異的な伸びを示している。分譲マンション用地以外でも、西鉄久留米駅西側も含めて、東~南東側を中心に高値取引が見られる。H28.4に開業した久留米シティプラザ、正面の明治通り側に設定されている5-6が+5.2%と筑後地区1位の上昇率を示したほか、天神町の5-8が+5.1%である。路線商業地域も上津バイパス沿い(5-10)は上昇基調継続、一昨年には「ゆめタウン久留米」が増床オープン(増床部分16,000㎡、総工費30億円)するなど好調である。

○工業地

吉本工業団地周辺に久留米市による約34haの新産業団地造成計画がH28.1に発表された。現在分譲中の工業団地である藤光産業団地(藤光町・荒木町)には、10区画中8区画が進出済など当市工業団地への新規進出状況は安定している。九州内の流通業務施設適地としては、隣接の鳥栖市が全国的に人気ながら用地が不足しているため、二番手ながら当市内への進出傾向も強い。既存の中小工業地おける取引は、下落幅が大幅に縮小傾向であり、9-1は今回±0%となった。

2017年5月21日

平成28年地価調査結果について(久留米市)

平均変動率で住宅地が横ばい、商業地の下落幅はさらに縮小。

〇住宅地

継続地点35地点中、上昇12地点、横ばい8地点。特急停車駅(JR久留米駅、西鉄久留米駅、花畑駅周辺)では、分譲マンション素地需要は相変わらず高いが、販売の方の供給過剰感から久留米-35は+3.7%(前年+4.7%)と鈍化傾向。旧久留米市中心部(諏訪野町、野中町等)では校区による選別傾向もある中、戸建住宅用地需要が安定。分譲マンションは、新築及び中古共に特急停車駅周辺の徒歩圏や、中心市街地に近い物件は概ね好調であるが、郊外部ではやや苦戦気味である。

戸建住宅は、総額2千万~3千万円程度のミニ開発分譲が活発化。上津バイパス周辺(-7・-14)では、生活利便施設の充実、東合川野伏間線全線開通効果を反映するなど、+3%~3.4%程度の上昇。この傾向は同街路に近い国分町エリアまで波及している。JR久留米駅東側(-12)では、新たな再開発事業等の期待感を背景に、地価の値頃感から+3.9%の上昇率が続いている。地価公示ではプラス傾向であるが、地価調査でもようやく±0%と下げ止まった。城島、田主丸、北野町の下落幅は前年並みのため、市街地の上昇幅拡大が吸収した形になっている。

〇商業地

継続地点9地点中、上昇2地点、下落5地点。商業需要全般が停滞傾向にあるが、昨年と比べて縮小している。中心市街地11の商店街空室率調査によれば、H21の26.8%を最高に、H28.6は317戸中59戸の空室で18.6%と長期的に若干回復傾向にある。今回の調査では西鉄久留米駅西側にも比較的高値の取引が見られるようになっている。国道210号沿いの2地点(櫛原・合川バイパス沿い)は上昇傾向にあり、郊外路線商業地域が強い傾向は継続、「ゆめタウン久留米」がH27.11に増床オープンした(増床部分16,000㎡、総工費30億円)。また、久留米シティプラザがH28.4.27に開業し、休日を中心に六ツ門地区の人通りが増加している。明治通りの事務所街は、統計はないものの高い空室率であったが、長年の地価下落によって単価的には分譲マンション用地への移行も視野に入るため、今回横ばい傾向になっている。

〇工業地

ダイハツ九州久留米工場(田主丸町)の生産ライン増設とエンジン開発拠点のH26年3月開設が発表されたほか、H25年7月には将来における車台開発等の研究開発機能拡充方針が発表されている。藤光産業団地(藤光町・荒木町)には、H24年11月にセイブ、日本生物製剤の進出、H25年9月にエクシス、九電工の進出、H26年7月には茅島産業と三油物流の共同進出、H27年8月にはJAうすきたまごファームの進出が発表された。九州内の流通業務施設適地としては、隣接の鳥栖市が全国的に人気であるが、用地等が限定的であるため、二番手ながら当市内への進出傾向も強い。久留米9-1は久留米ICからの利便性や長年の地価下落により、今回の調査でも横ばいが続いている。

2016年11月27日

平成28年地価公示結果について(久留米市)

平均変動率で住宅地・商業地ともに上昇幅が拡大。

〇住宅地

継続地点32地点中、上昇13地点、横ばい9地点、下落10地点。特急停車駅(JR久留米駅、西鉄久留米駅、花畑駅)周辺では、相変わらず分譲マンション素地需要が地価を押し上げ、久留米-23は+3.8%の上昇。中心部では校区による選別傾向もある中、戸建住宅用地需要が安定。新築分譲マンションは、予定も含めて約10棟の供給がある。新築及び中古共に特急停車駅周辺の徒歩圏や中心市街地に近い物件は概ね好調であるが、郊外部ではやや苦戦気味である。

戸建住宅は、総額2千万~3千万円程度のミニ開発分譲が活発化。上津バイパス周辺(-5)では、生活利便施設の充実、東合川野伏間線全線開通効果を反映するなど、+4.0%の上昇。この傾向は同街路に近い国分町エリアまで波及している。

地価調査では平均変動率で▲0.1%とマイナス基調だったが、今回地価公示では+0.3%と上昇基調。地価調査では、地点構成が三潴町以外の旧郡部が11地点、地価公示では旧久留米市の地点が多いため、平均変動率ではプラス基調となっている。

〇商業地

継続地点12地点中、上昇6地点、横ばい2地点、下落4地点。商業需要全般が停滞傾向にあるが、上昇地点と下落地点がはっきり分かれている。中心市街地11の商店街空室率調査によれば、H21の26.8%を最高に、H27.12は308戸中59戸の空室で19.2%と長期的には回復傾向にある。なお、近年では分譲マンション用地以外では、西鉄久留米駅西側より、東~南東側に高値取引が見られるようになっている。久留米シティプラザがH28.4開業を控え、周辺の六ツ門地区2地点(5-5・5-6)が前年に引き続き上昇基調。路線商業地域も上津バイパス沿い(5-10)は上昇基調継続、昨年には「ゆめタウン久留米」が増床オープン(増床部分16,000㎡、総工費30億円)するなど好調である。

〇工業地

ダイハツ九州久留米工場(田主丸町)の生産ライン増設とエンジン開発拠点化が進行、さらにH28.1には吉本工業団地周辺に久留米市による約34haの新産業団地造成計画が発表された。藤光産業団地(藤光町・荒木町)には、H24.11にセイブ、日本生物製剤の進出、H25.9にエクシス、九電工の進出、H26.7には茅島産業と三油物流の共同進出、H27.8にはJAうすきたまごファームの進出。九州内の流通業務施設適地としては、隣接の鳥栖市が全国的に人気であるが、用地等が限定的であるため、二番手ながら当市内への進出傾向も強い。既存の中小工業地おける取引は、長年の地価下落により、下落幅は大幅に縮小傾向である。

2016年5月13日

平成27年地価調査結果について(久留米市)

平均変動率で住宅地がほぼ下げ止まり傾向、商業地は下落幅が縮小傾向。

〇住宅地

継続地点35地点中、上昇11地点、横ばい7地点。特急停車駅(JR久留米駅、西鉄久留米駅、花畑駅周辺)では、相変わらず分譲マンション素地需要が地価を押し上げ、久留米35は+4.7%の上昇。旧久留米市中心部(諏訪野町、野中町等)では校区による選別傾向もある中、戸建住宅用地需要が安定。分譲マンションは、新築及び中古共に特急停車駅周辺の徒歩圏や、中心市街地に近い物件は概ね好調であり、今後も新規供給が多く見込まれる。

戸建住宅は、総額2千万~2.6千万円程度のミニ開発分譲が活発化。上津バイパス周辺(-7・-14)では、生活利便施設の充実、東合川野伏間線全線開通効果を反映するなど、+3%~3.6%程度の上昇。この傾向は同街路に近い国分町エリアまで波及している。JR久留米駅東側(-12)では、新たな再開発事業等の期待感を背景に、地価の値頃感から+3.9%の上昇を示した。地価公示では市平均変動率+0.2%であったが、今回の地価調査では▲0.1%とマイナス基調。主要因は、地点構成が三潴町以外の旧郡部も11地点あるため、下落傾向が続く城島、田主丸、北野町の動向を反映して、平均変動率ではマイナス基調となっている。

〇商業地

継続地点11地点中、上昇3地点、下落8地点。商業需要全般が停滞傾向にあるが、全体的に昨年と比べて縮小している。中心市街地11の商店街空室率調査によれば、H21の26.8%を最高に、H27.5は329戸中64戸の空室で19.5%と長期的に若干回復傾向にある。なお、近年では分譲マンション用地以外では、西鉄久留米駅西側より、東~南東側に高値取引が見られるようになっている。国道210号沿いの2地点(櫛原・合川バイパス沿い)は上昇傾向にあり、郊外路線商業地域が強い傾向は継続、「ゆめタウン久留米」の増床工事が進行している(増床部分16,000㎡、総工費30億円、年内オープン予定)。明治通りの事務所街は支店の減少等が続き、統計はないものの高い空室率であり、長年の地価下落によって単価的には分譲マンション用地への移行も視野に入る。近年では地方創生に伴う雇用創出を目指す市の積極的な誘致策を行い、4社のコールセンター等が進出している。

〇工業地

ダイハツ九州久留米工場(田主丸町)の生産ライン増設とエンジン開発拠点のH26年3月開設が発表されたほか、H25年7月には将来における車台開発等の研究開発機能拡充方針が発表されている。藤光産業団地(藤光町・荒木町)には、H24年11月にセイブ、日本生物製剤の進出、H25年9月にエクシス、九電工の進出、H26年7月には茅島産業と三油物流の共同進出、H27年8月にはJAうすきたまごファームの進出が発表された。九州内の流通業務施設適地としては、隣接の鳥栖市が全国的に人気であるが、用地等が限定的であるため、二番手ながら当市内への進出傾向も強い。既存の中小工業地おける取引は、長年の地価下落により、下落幅は大幅に縮小傾向である。

2016年5月13日

平成27年公示地価(久留米市)概要

平成27年地価公示

3月18日夕方、平成27年1月1日時点の公示地価が発表されました。久留米の概要については私が分析した結果は以下です。

○住宅地

継続地点32地点中、上昇12地点、横ばい10地点、下落10地点。JR久留米駅、西鉄久留米駅、花畑駅周辺等中心部の利便性の高い地域では、分譲マンション素地需要が地価を押し上げ、久留米-23は+3.9%の上昇。分譲マンションは、新築及び中古共に特急停車駅周辺の徒歩圏や、中心市街地に近い物件は概ね好調であり、今後も新規供給が多く見込まれる。中心部周辺では中古も含めて戸建住宅需要も安定。上津バイパス周辺では、生活利便施設の充実、東合川野伏間線全線開通効果を反映するなど、地価の値頃感を背景に+3%程度の上昇。新築着工件数も増加傾向が継続、戸建・共同住宅共に安定。旧久留米市中心部周辺地域では、校区による選別傾向もある中、安定した戸建住宅需要を背景に上昇傾向。やや郊外の地域でも殆どが安定局面にあり、横這い又は昨年より縮小した下落幅で推移している。一方、利便性が低い旧郡部や調整区域においては、昨年並み又はやや縮小傾向の下落幅で推移している。

○商業地

継続地点12地点中、上昇6地点、横ばい1地点、下落5地点。商業需要全般が停滞傾向にあるが、全体的に昨年と比べて縮小している。中心市街地11の商店街空室率調査によれば、H21の26.8%を最高に、H26.11は332戸中61戸の空室で18.4%と長期的に若干回復傾向にある。業種としては、旧来からのアパレル等服飾・雑貨関係は減少、飲食関係(居酒屋等)が増加。なお、近年では西鉄久留米駅西側より、東~南東側に高値取引が見られるようになっている。上津バイパス沿いは久留米ICまでの全線開通を受けて利便性の向上から地価も上昇傾向、郊外路線商業地域が強い傾向は継続しており、「ゆめタウン久留米」の増床計画がH27年1月に発表された(増床部分16,000㎡、総工費30億円、年内オープン予定)。約20年間下落が続いた六ツ門の2地点が今回上昇、「久留米シティプラザ」工事進行や「新世界地区第二期工区」始動により従来の更地から街並みが変化しつつあり、価格に期待性が反映された取引も見られるようになった。

○工業地

〇ダイハツ九州久留米工場(田主丸町)の生産ライン増設とエンジン開発拠点のH26年3月開設が発表されたほか、H25年7月には将来における車台開発等の研究開発機能拡充方針が発表されている。藤光産業団地(藤光町・荒木町)には、H24年11月にセイブ、日本生物製剤の進出、H25年9月にエクシス、九電工の進出、H26年7月には茅島産業と三油物流の共同進出が発表された。H23年10月には閉鎖したパナソニック電工(城島町)跡地に健康機能器具メーカー進出。既存の中小工業地おける取引は、取引事情を含みながらの供給圧力が強いが、下落幅は縮小傾向である。

(変動要因)

・人口は平成25年5月以降増加傾向に転じている

・東合川野伏間線全線開通(H26年3月21日)

・豆津バイパスの整備(H24年3月24日)

・国道3号鳥栖久留米道路(久留米IC~鳥栖間の国道3号バイパス)等事業中

・久留米シティプラザがH27年度オープンを目指して平成25年11月に建築着工

・JR久留米駅西口には久留米市が4階建214台の立体駐車場建設を発表、H26年4月利用開始

・六ツ門の新世界地区(第二期工区)優良建築物等整備事業が始動

・ダイハツ九州エンジン開発部門の久留米拠点化進行

・ゆめタウン久留米増床計画(増床部分16,000㎡、総工費30億円、年内オープン予定)の発表

2015年3月19日