平均変動率で住宅地がほぼ下げ止まり傾向、商業地は下落幅が縮小傾向。
〇住宅地
継続地点35地点中、上昇11地点、横ばい7地点。特急停車駅(JR久留米駅、西鉄久留米駅、花畑駅周辺)では、相変わらず分譲マンション素地需要が地価を押し上げ、久留米35は+4.7%の上昇。旧久留米市中心部(諏訪野町、野中町等)では校区による選別傾向もある中、戸建住宅用地需要が安定。分譲マンションは、新築及び中古共に特急停車駅周辺の徒歩圏や、中心市街地に近い物件は概ね好調であり、今後も新規供給が多く見込まれる。
戸建住宅は、総額2千万~2.6千万円程度のミニ開発分譲が活発化。上津バイパス周辺(-7・-14)では、生活利便施設の充実、東合川野伏間線全線開通効果を反映するなど、+3%~3.6%程度の上昇。この傾向は同街路に近い国分町エリアまで波及している。JR久留米駅東側(-12)では、新たな再開発事業等の期待感を背景に、地価の値頃感から+3.9%の上昇を示した。地価公示では市平均変動率+0.2%であったが、今回の地価調査では▲0.1%とマイナス基調。主要因は、地点構成が三潴町以外の旧郡部も11地点あるため、下落傾向が続く城島、田主丸、北野町の動向を反映して、平均変動率ではマイナス基調となっている。
〇商業地
継続地点11地点中、上昇3地点、下落8地点。商業需要全般が停滞傾向にあるが、全体的に昨年と比べて縮小している。中心市街地11の商店街空室率調査によれば、H21の26.8%を最高に、H27.5は329戸中64戸の空室で19.5%と長期的に若干回復傾向にある。なお、近年では分譲マンション用地以外では、西鉄久留米駅西側より、東~南東側に高値取引が見られるようになっている。国道210号沿いの2地点(櫛原・合川バイパス沿い)は上昇傾向にあり、郊外路線商業地域が強い傾向は継続、「ゆめタウン久留米」の増床工事が進行している(増床部分16,000㎡、総工費30億円、年内オープン予定)。明治通りの事務所街は支店の減少等が続き、統計はないものの高い空室率であり、長年の地価下落によって単価的には分譲マンション用地への移行も視野に入る。近年では地方創生に伴う雇用創出を目指す市の積極的な誘致策を行い、4社のコールセンター等が進出している。
〇工業地
ダイハツ九州久留米工場(田主丸町)の生産ライン増設とエンジン開発拠点のH26年3月開設が発表されたほか、H25年7月には将来における車台開発等の研究開発機能拡充方針が発表されている。藤光産業団地(藤光町・荒木町)には、H24年11月にセイブ、日本生物製剤の進出、H25年9月にエクシス、九電工の進出、H26年7月には茅島産業と三油物流の共同進出、H27年8月にはJAうすきたまごファームの進出が発表された。九州内の流通業務施設適地としては、隣接の鳥栖市が全国的に人気であるが、用地等が限定的であるため、二番手ながら当市内への進出傾向も強い。既存の中小工業地おける取引は、長年の地価下落により、下落幅は大幅に縮小傾向である。