令和3年地価調査結果について(筑後地区)

このエントリーをはてなブックマークに追加

令和3年9月に福岡県から発表された地価調査結果について考察します。県内全域に精通していますが、ここでは筑後地区(車の久留米ナンバーの区域)に限定します。

筑後地区の地価動向を大きく分けると、北部が上昇傾向、南部が横ばい若しくは下落傾向が続いています。筑後地区の中では小郡市が住宅地も商業地も上昇率が1位になっています。これは、地区の中では福岡都市圏に一番近いこと、三国が丘駅周辺の分譲地の地価が上昇しているため、市内全域の土地需要が活発になっていることが考えられるほか、流通業務地としての利便性の高さも評価されていることも挙げられます。

筑後地区最大都市の久留米市は堅調に地価上昇が続いていますが、市内でも中心部と郊外部の地価動向の二極化が進んでいるため、平均としては小郡市より低い結果となっています。住宅地では久留米市周辺の筑後市、大刀洗町、大木町が上昇しています。久留米市より地価が安く、車を使えば勤務先へのアクセスもさほど影響が無く地価が安いため、久留米市の土地需要を吸収していると分析します。筑後地区でも南部地域は福岡都市圏からの距離、雇用を吸収する産業の弱さから下落傾向が続いています。ただし、これらの市町でも中心部に近い住環境に優れる地域は地価が上昇しています。柳川市は区画整理事業に関しては地価上昇が続いていますが、現在の調査地点がこの地価上昇を反映する地点に設定されていません。大川市も中央公園付近では住環境や利便性が向上していますので、中心部の住宅地域の地価下落は止まると予想します。八女市も同様に中心部の住宅地は地価上昇が続いています。筑前町は小郡市同様に福岡都市圏に近い立地のため、地価上昇幅が相対的に大きい傾向が続いています。

今後の住宅地の地価動向については、地区内の市町村全域で中心部はプラス、郊外部ではマイナスの動きになるような二極化が顕著に見られると予想します。現在、コロナ禍の影響で観光地の商業地はマイナス傾向ですが、収束すれば必ず観光客も戻り地価上昇に転じるでしょう。

市区町村名 住宅地 宅地見込地 商業地 準工業地 工業地
平均変動率 平均変動率 平均変動率 平均変動率 平均変動率
大牟田市 ▲ 1.2 ▲ 1.1 1.1
久留米市 0.8 1.3 4.2
柳川市 ▲ 0.6 ▲ 1.2 ▲ 1.8
八女市 ▲ 1.4 ▲ 1.8
筑後市 1.3 1.3 3.6
大川市 ▲ 1.4 ▲ 1.7 ▲ 0.3
小郡市 5.0 4.6
うきは市 0.0 ▲ 1.9 8.9
朝倉市 ▲ 0.5 0.4 9.2
みやま市 ▲ 0.6 ▲ 2.0 0.0
筑前町 3.9 3.9
東峰村 ▲ 3.6 ▲ 1.7
大刀洗町 1.2 1.0
大木町 0.4 ▲ 1.0
広川町 ▲ 0.1 ▲ 0.6 3.7
福岡県 1.5 2.4 2.7 4.4
北九州市 0.4 0.9 1.7
福岡市 4.4 7.7 9.0

以上、不動産鑑定士淺川博範による個人的な分析結果でした。

2021年11月10日