令和4年地価調査結果について(筑後地区)

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筑後地区の地価動向を大きく分けると、北部が上昇傾向、南部が横ばい若しくは下落傾向が続いています。筑後地区の中では小郡市が平均変動率で住宅地(+7.3%)、商業地(+5.3%)ともに上昇率が1位になっています。これは、地区の中では福岡都市圏に一番近いこと、筑紫野市に近いエリアの分譲地の地価が上昇しているため、市内全域の土地需要が活発になっていることが考えられるほか、流通業務地としての利便性の高さも評価されていることも挙げられます。

筑後地区最大都市の久留米市は堅調に地価上昇が続いていますが、市内でも中心部と郊外部の地価動向の二極化が進んでいるため、平均としては小郡市より低い結果(住宅地+1.4%、商業地+1.7%)になっています。福岡都市圏から電車で約30分というアクセスの良さを反映し、西鉄久留米駅からJR久留米駅までのエリアには分譲・賃貸マンションが多く建て込んでいます。土曜夜市やイベントも再開され賑わいを見られコロナ前の状況に戻りつつあります。岩田屋新館跡地を取得したリオ・ホールディングス(東京)が、FLAG KURUME(千歳プラザ東館・賃料9~14千円/坪・月)として営業を開始、1Fにはスーパー(FOODWAY 福岡市)が進出しています。

住宅地では久留米市周辺の筑後市、うきは市、大刀洗町、大木町が上昇しています。久留米市より地価が安く、車を使えば勤務先へのアクセスもさほど影響が無く地価が安いため、久留米市の土地需要を吸収していると思料します。筑後地区でも南部地域は福岡都市圏からの距離、雇用を吸収する産業の弱さから下落傾向が続いています。ただし、これらの市町でも中心部に近い住環境に優れる地域は地価が上昇しています。大牟田市はJR鹿児島本線、西鉄天神大牟田線、九州新幹線の駅が配置されているものの、福岡都市圏より遠い事や高齢化率が県平均より高いなど弱含みの状況ですが、大牟田市イノベーション創出拠点内に、凸版印刷株式会社のDX開発拠点の開設が決定し、9月進出協定が締結されました。凸版印刷株式会社では、今回の進出は国内3拠点目となるそうです。

柳川市は区画整理事業に関しては地価上昇が続いていますが、現在の調査地点がこの地価上昇を反映する地点に設定されていません。大川市も中央公園付近では住環境や利便性が向上しており中心部の住宅地域の地価下落は横ばい傾向になっています。移住や子育補助金が筑後地区内ではトップクラスのため、この効果も相俟っているようです。

うきは市は今回から住宅地が+0.7%と横ばいから上昇に転じました。吉井地区の白壁通りの街並みが気に入ってIターンの動きや、コロナ渦を経てワーケーション等で土地需要が喚起されていると分析します。

八女市も同様に中心部の住宅地は地価上昇が続いていますが、旧町は高齢化等により土地需要はやや弱い傾向が見られます。大刀洗町は国道500号周辺にミニ開発が多く見られるなど、自然と調和した住みやすい町として土地需要は高まっているため、今回も+2.0%と上昇幅が拡大しています。

工業地は小郡市が+13.3%、筑後市が+12.0%、広川町が+16.8%と福岡ICから1時間圏内で各最寄ICから1km程度の距離のため、流通業務適地として大幅な地価上昇しております。

今後の住宅地の地価動向については、地区内の市町村全域で中心部はプラス、郊外部ではマイナスの動きになるような二極化が継続すると予想します。現在、コロナ禍の影響で観光地の商業地はマイナス傾向ですが、収束すれば観光客も戻り地価上昇に転じるでしょう。

市区町村名 住宅地 宅地見込地 商業地 準工業地 工業地
平均変動率 平均変動率 平均変動率 平均変動率 平均変動率
大牟田市 ▲0.5 ▲0.7 3.3
久留米市 1.4 1.7 4.9
柳川市 ▲0.3 ▲0.7 0.0
八女市 ▲1.0 ▲1.0
筑後市 3.5 2.0 12.0
大川市 ▲0.5 ▲0.8  0.9
小郡市 7.3 5.7
うきは市 0.7 ▲0.5 9.4
朝倉市 ▲0.3 0.6 12.0
みやま市 ▲0.2 ▲1.1 0.0
筑前町 4.1 4.7
東峰村 ▲2.9 ▲0.8
大刀洗町 2.0 2.3
大木町 0.6 ▲0.3
広川町 ▲0.2 ▲0.3 16.8
福岡県 2.5 5.2 4.0 6.3
北九州市 1.0 2.4 2.4
福岡市 6.5 9.6 11.7

 

2022年9月21日